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学力は家庭環境が大きく関係している

「学力の経済学」中室牧子

「学力」の経済学

「学力」の経済学


最近、子育て関連の書籍を読んでいるので、有名なこの本も読んでみました。
よくある教育の通説ではなく、統計に基づいて論じられているので納得。

著者も冒頭で述べていますが、教育評論家や子育ての専門家と呼ばれる人たちの個人的な経験に基づいての主張より、経済学がデータを用いて明らかにしている教育や子育てに関する発見は、教育評論家や子育て専門家の指南やノウハウよりも、よっぽど価値があるとわたしも思います。

・どのような教育がいいかという問いへの回答は、教育される本人の特性や能力。環境などさまざまな要因によって左右される
・どこの誰かが子育てに成功したからといって、同じことをしたら自分の子どもも同じように成功するという保証は、どこにもない
・教育経済者の著者が信頼を寄せるのは、たった一人の個人の体験記ではない。個人の体験を大量に観察することによって見出される規則性である

まとめるのは大変なので、みなさんご自身で読んでいただくとして、以下はわたしに響いたところを抜き出しました。

・ご褒美で子どもをつっても良い
→「テストでよい点を取ればご褒美」というアウトプットより、「本を読んだらご褒美」というインプットにご褒美を設定した方が効果がある。ただし、家庭教師など勉強の仕方を導くメンターがいた場合は、アウトプットでも効果あり。

・子どもが小さいうちは、トロフィーのように、子どものやる気を刺激するような、お金以外のご褒美を与えるのがよい
・「あなたは頭がいいのね」と子供のもともとの能力をほめるより、「あなたはよく頑張った」と努力を称賛するほうが効果的。成績が悪かった場合、努力が足りなかったのだと考える。

・テレビやゲームをやめさせても学習時間はほとんど増えない

・勉強には、男の子なら父親が、女の子なら母親が関わるとよい

・学力の高い友だちと一緒にさえいれば、自分の子どもにもプラスの影響があるだろうと考えるのは間違っている

・子どもや若者は、飲酒・喫煙・暴力行為など反社会的な行為について、友人からの影響を受けやすい。
また、生活習慣も影響を受けやすい。

・子どもが小学校に入学する前の就学前教育がもっとも収益率が高いが、IQの差は小学校入学とともに小さくなり、8歳前後で差がなくなる

・就学前教育で重要なのは、IQテストで測られる認知能力ではなく、「忍耐力」や「社会性」「自制心」「やり抜く力」などの非認知スキル、非認知能力である

・少人数学級は学力を上昇させるには費用対効果が低い

・行き過ぎた「平等主義」が格差を拡大させる
→子供の学力には、遺伝や家庭の資源など、子供自身にはどうしようもないような要因が大きく影響している。しかし、平等主義的な教育の元では、こうした現実にはあまり目が向けられることはありませんでした。その結果、子どもは、本人が努力しさえすれば教育によって成功を得られる、別の言い方をすれば、成功しないのは、努力をせずに怠けているからだと考えてしまい、不利な環境におかれている他人を思いやることのないイヤなタイプの人間を多く育ててしまっている

・遺伝や家庭の資源など、子供自身にどうしようもないような問題を解決できるポテンシャルを持つのは教員である

子育て時代は、一度この本を読んでおいて損はしないと思います。

この本を読んで、教育は数値化できない、というようなことはないということを感じました。
教育にエビデンスを。

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